心と体と

ハンガリーで2008年に公開された映画です。
主人公は食肉加工場の財務部長を務める半身不随の初老の男、おしゃべり好きな女たち、女を口説く軽い男たちの上司として仕事をしていますが、臨時で入った女性マリアの変わった様子に興味を持つようになります。
主人公は男ですが、途中からマリアへと視点は徐々に移っていきます。
マリアは周囲の従業員と馴染めない、冗談一ついわないエリート気取りの堅物の女性として受け取られますが、男だけは彼女の性格に気づきます。
彼女は、世間でいわゆるアスペルガー症候群や、サバン症候群などど言われる障害を抱えていることが描写からわかりますが、作品中でそういった明示は一切なされません。
マリアは幼少から担当しているカウンセリング医を持っていたりと、何らかの障害があることは見ていてわかるのですが、病気という名称で切り取り片付けるのではなく、マリアという一人の生きづらさを抱えた一人の女性として描ききっているところがとても誠実で快かったです。
初めは不愛想で融通の利かない気難しい女だと思っていたマリアを、男の目をとおして段々と愛おしい人物だとわかっていく過程があります。
俗的なおしゃべりが出来ないし、常識ではあまり口に出さないことを言ってしまう彼女のことを、男はいつからか異性として意識するようになります。
そんな二人が距離を縮めるきっかけになったのは、二人が毎晩共通して見ているという「鹿になった夢」でした…。